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ベネッセアートサイト直島 (李禹煥美術館&ベネッセハウスミュージアム)2011年09月15日 23時11分20秒

直島の美術館は、島の南東部に集中していて徒歩で移動はそれほど大変ではありません。むしろお天気が良ければ、瀬戸内海の自然を楽しむこともできるのでお勧めと言えるかもしれません。

直島

地中美術館を出て道路沿いを5分程度歩くと、李禹煥(リ・ウーファン)美術館があります。この美術館も安藤忠雄(1941-)の設計した美術館であり、野外と室内に現代美術の潮流のひとつである「もの派」を牽引した李禹煥(1936-)の作品が展示されています。

「もの派」は、日本において前衛的な美術が盛んになってきた1960年代にものへの還元から芸術の再創造を目指として、関根伸夫(1942-)や李禹煥が理論を展開して、多摩美術大学の学生が中心となり活動をした歴史があります。

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ひとつの作品は、かなり遠くから見ることできます。大地から突き出た大きな柱がその作品で「関係項--点線面」と言います。とてもインパクトがあるのですが、周りを見ていくと京都にある枯山水のような静けさと単純化された美しさに癒される空間を作っているように思います。

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ここも美術館の内部は撮影できませんが、地中美術館と同じようにむき出しのコンクリートが特徴的で、ここでも空間自体が作品として成立しているのだと思います。展示の構成は、絵画と彫刻からなるのですが、全体的にはコンパクトな作りなっています。

彫刻は、石や板といった単純なもので、「もの派」が装飾的・説明的な部分をできるだけ削ぎ落とし、シンプルな形と色を使用して表現するミニマル・アートに近いことからも、作品と向き合うことで禅のような精神世界を体感できるにも思います。

李禹煥美術館をあとに海岸沿いの道を進んでいくと、宿泊施設を伴ったベネッセハウスミュージアムが見えてきます。今回、ベネッセハウスには、宿泊しませんでしたが「自然・建築・アートの共生」のコンセプトにはとても興味を惹かれるところです。

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美術館は、建物の1階、2階、地下なのですが、3階、4階もあり、そこは本当にホテルのようで・・・やっぱり泊まれば良かったかなと思うような魅力のある美術館でした。ガイドには宿泊をしないと見ることが出来ない作品もあるとのこと。なかなか上手い仕掛けがあるようです。

作品は国内外の現代美術作家の作品を収集していて、やはり室内と屋外に作品を配置しています。美術館の作りは、地中美術館や李禹煥美術館ぼどは特徴的ではないのですが、地下から2階までの吹き抜けや海の見える展示室などたくさんの工夫が見てとれます。

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例えば、ジャスパー・ジョーンズ (1930-)、デイヴィッド・ホックニー(1937-)、杉本博司(1948-)、ゲルハルト・リヒター(1932-)、ウォルター・デ・マリア(1935-)など、現代美術の代表する作家の作品をきっちり押さえていて、ちょっとお得な感じがしてきます。美術館内の撮影は出来ませんが、野外の作品がいくつかあります。

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岡の上、傾斜の中、小さなビーチ、船着き場などにさりげなく作品を展示しています。気がつくとけっこう歩いている感じがしましたが、次は何に会えるのかが楽しみになってきて、疲れを忘れてしまうようです。そして、いよいよ直島を有名にした、あの作品に出会うことになります。

※ベネッセアートサイト直島