Asagi's Art News





エカテリーナの楽園 ~ 大エルミタージュ美術館展2006年11月22日 23時29分19秒

朝日新聞に上野から六本木にアートが移動するようなニュアンスの記事が載りました。上野の美術館群は、確かに歴史があります。しかし、最新の設備ではありません。良い企画展を数多く手掛けますが、訪問者に負担をかけるような事態も、引き起こしているのも事実でしょう。

今回の都美館は、たまたま日展の開催ともぶつかり大にぎわいでした。人の流れやバリアフリー、トイレなども含めて、不便を感じるところもあります。その日展も都美館での開催は、今回が最後とか・・新聞では上野と六本木の共存共栄と結んでいましたが、はたしてうまくいくのでしょうか?

大エルミタージュ美術館展

さて、大エルミタージュ展の内容ですが、人物、風景、都市の3つのテーマに分け、年代もいろいろ混ぜて展示が行われていました。印象派の作品もあり、なかなか楽しめます。ルノワールは、小さめですが鮮やかな色彩、ゴーギャンは、タヒチの美人画と無難な感じがしました。

この一枚に会いに行くという感じではないのが、ポイントかもしれません。それは、いつもの1階から2階に進む吹き抜け部分に、エルミタージュ美術館の紹介のためのプロジェクタが、あっただけだったからです。

本当のことを言うと少し残念でした。ここはいつも、展覧会のメインとなる作品を展示するところで、前半の区切りとしても、展覧会のテーマを左右する作品に出会える場所として、重要なところですから・・。

すてきな作品ももちろんありました。クナウスの「野原の少女」などは、とても魅力的な作品でした。赤い帽子がアクセントを持つことで、無邪気に花を摘む少女の愛らしさがきわだちます。全体が緑に覆われ、空は上の方にほんの少し描かれているだけです。それが、逆に広い野原の印象をあたると思います。

野原の少女
ルートヴィヒ・クナウス「野原の少女、1857」

エルミタージュ美術館の印象は、絵画よりも美術館そのものの芸術性とさまざまな工芸品が光る感じがありました。しかし、今回、絵画もたくさんあることを知ったことは、有意義だった思います。ヨーロッパの北の都、女帝エカテリーナの楽園をちょっぴり覗くことが出来て、嬉しかったです。

※大エルミタージュ美術館展

コメント

_ keyakiya ― 2006年11月23日 10時12分53秒

今度はどこの美術館のどんな展覧会をレポートしてくれるのかなと楽しみに待っています。「上野から六本木へ移動の話」はなかなか興味深い話です。美術作品は本来美術館にあるものではありません。それぞれの事情があって美術館という箱に集められ、その集合体として「・・展覧会」となるわけで、現代のわたしたちは、ほとんどそんな展覧会をみています。鑑賞者にとっては、美術作品は第一ですが、その箱も重要になってきます。

京都の場合ですと、多くの宝物は、お寺や神社、あるいは、個人のもとにあり、そこで保存され、公開される形をとります。生活空間の中に存在しますから、そこまでのアプローチ、まわりの環境や観賞方法など全てひっくるめて、「お宝拝見」となり、その体験が心に残ります。そして長い時間の中で淘汰され、本物が残ります。

雑踏の中、多くの作品が集まり、時にそれぞれ作品同士がバトルをし合う現代の展覧会も、空間にエネルギーがあって好きです。刺激的ですね。

エルミタージュ展とは関係なかったですね。ごめんなさい。

_ あさぎ ― 2006年11月26日 21時20分52秒

>keyakiyaさん

こんばんは、いろいろな美術館がありますね。古いものもあれば、新しいものあります。私は、アートも好きですが、それらがある美術館も大好きです。お気に入りのポイントもたくさんあります。

その場所に自分が思っていたような作品が飾られたときは、とても嬉しいですが、今回のようにあれあれと思うときもあります。

「空間にエネルギーがある」、確かにそうですね。美術館も時として、いろいろな顔を見せてくれる・・生きのものようですね。

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