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ギャップ ~ 理想の暮らしを求めて 濱田庄司スタイル展2011年09月04日 21時34分39秒

陶磁器の良し悪しの判断は、なかなか難しいものがあります。何度となく陶磁器の展覧会を訪れますが、いまだに迷うものです。絵画と同じように感性で捕らえようとしてみるのですが、何かが邪魔をしているのかもしれません。

日本には、たくさんの窯があり昔から名品と呼ばれるものが残っています。輸出品としても高く評価され、ヨーロッパをはじめとする海外で大切にされています。しかし、それらは美しい装飾をほどこした高価な作品が大半を占めるのです。

濱田庄司

ところが、濱田庄司(1894-1978)は、そのような華やかな陶磁器とは異なり、益子焼きと呼ばれる素朴でいてスタイリッシュな作品を広め活躍した人です。英国人陶芸家のバーナード・リーチ(1887-1979)や民芸運動の柳宗悦(1889-1961)などとの交流から影響を受けたとも言われています。

何だか田舎の古くさい人物のように思えたのですが、展覧会によるかなりモダンな感じでお洒落であったことが判りました。生活もいまで言うオーガニックという言葉がピッタリだと思います。もちろん、作品も良く見ると抽象画のような人の想像をくすぐるような斬新なものであったりと、想像とのギャップに気づく良い機会になりました。

まだまだ陶磁器の世界は奥が深そうであり、何だかおもしろそうな人たちがたくさんいるような感じがします。絵画と違い生活と直接的に関わりあっているものでもあり、工業製品は大量に氾濫しています。しかし、本当の作品から発せられるメッセージはあるはずです。そのメッセージに早く気がつくように、これからもたくさんの作品に出会いたいと思います。

※パナソニック電工 汐留ミュージアム(2011年7月16日~2011年9月25日)

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