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都市を変える ~ メタボリズムの未来都市展2012年01月21日 22時10分27秒

昭和に建てられた特徴ある建築が次々に壊されています。たぶん改められた耐震基準のクリアや経営的な維持が、難しくなってしまったからだと思います。もちろん、平成時代の新しい建物も次々の登場しますが、展覧会に出てくるメタボリズムの建築に比べるとインパクト的にいまひとつだったりします。

メタボリズム

建築をテーマにした展覧会は、どうしても設計図面や模型が中心になしまいます。それでも、伝えたいことは判りますし、知っていればその美しさを想像できるので良いと考えています。たぶん、多くのキュレーターにとっても難しい企画のひとつなのでしょう。

ただ、かつて東京国立近代美術館の「建築はどこにあるの?」のような、建築とインスタレーションを組み合わせるような斬新さも必要であるように思ったりもします。確かに歴史的背景がある場合には、そう簡単にはいかないと思いますが…

さて、肝心の展覧会の内容ですが、やはりオーソドックスな建築展の手法でまとめていました。高度成長期を背景として、建物だけでなく都市を設計するという壮大な計画を設計図や模型の他にCG映像などを使い紹介していて、良くまとまっていると思います。

丹下健三(1913-2005)の次の世代である黒川紀章(1934-2007)や菊竹清訓(1928-2011)などの活躍は、飛躍する日本の象徴だったのかもしれません。例えば、東京湾を埋め立て新しい都市空間を作るなど、実現不可能と思われる計画を次々に発表しました。

ところが、残念なことにメタボリズムの建築は、大阪万国博覧会を境に衰退してしまいます。もちろん、これは高度成長の時代の終わりであり、オイルショックをはじめとするマイナス成長に変わったことが原因です。

巨額の建設費を捻出するには、経済力が底辺にあり、どこよりも人、物、金が多く集まることが条件になります。したがって、現在のような日本の経済状況と世界的なマネーゲームの中では、かつての都市を計画など夢なのかもしれません。

しかし、環境問題、人口問題、食糧問題など、すでに後戻り出来ないところまで来ているのです。もしかしら、都市を変えることが、そのような問題を解決する切り札になるのかもと、ひそかに思っていたりします。

※森美術館(2011年9月17日~2012年1月15日)

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