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秘めた思いや感情 ~ 松井冬子展2012年02月10日 23時44分10秒

ここ最近、かなりの頻度でマスメディアに登場している松井冬子(1974-)。彼女の言葉で自身の世界観を語ることは、たいへん興味深いことだと思います。作品のみならず彼女自身にも人気があり、特に若い人たちは彼女の影響を大いに受けて何かを感じているようです。

松井冬子

そのため、展覧会の会場には学生やそれに近い年齢層の若い人たちがたくさんやって来ていました。もちろん、時間帯による偏りがあると思うのですが、特に目立つのは普段あまり見かけない若い男性の姿…何かちょっと違った感じがありました。

たぶんですが、彼女が知的な美人ということも要因であると思います。だから、彼女のファンの男性がたくさん集まった感じなのかもしれません。作品はアーティストの分身であるとも言いますから、作品と触れ合うことでいろいろ感じるところがあるのでしょう。

さて、展覧会ですが、初期の作品から最近の作品まで、幅広く展示されていました。横浜美術館が所蔵する「世界中の子と友達になれる」は、常設の展示ではガラスケースの中にあるのですが、この展覧会ではガラスなしで見ることが出来ます。

細かい描き込みをじっくり見ることが出るのは、なかなかない機会で大変嬉しいことです。また、「世界中の子と友達になれる」と同じエリアに藝大卒業時に制作された自画像がありました。この自画像の作成にあっては、彼女がいろいろ語っていて、それを思い出しながら見るのもちょっと楽しかったりします。

はじめて見る作品もたくさんあって、その中でも印象風景の大作「この疾患を治癒させるために破壊する」は、とても良い作品だと思いました。日本画ならではの広がりと静寂さの中に、見方によっては美しいと言うよりも官能的な部分がひそんでいるように思います。

松井冬子
松井冬子「この疾患を治癒させるために破壊する、2004」

タイトルから感じる印象はシュルレアリスムのような意味深い感じがするのですが、実際にはもっとストレートに伝わって来る感じだと思います。彼女の心の中にある秘めた思いや感情…そのようなものを感じます。かなりハードで直接的な表現をする作品もありますが、このように間接的な表現もとても魅力を感じることが出来ます。

※横浜美術館(2011年12月17日~2012年3月18日)

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