Asagi's Art News





ミレーの歌声 ~ ボストン美術館展2010年05月02日 19時45分33秒

森アーツセンターギャラリーとしては、フィリップス・コレクション以来の大型の展覧会になると思われます。古典から近代にかけての名品を一度に集めるには、かなりの苦労があったと思います。レンブラント、ミレー、マネ、モネ、ゴッホと人気の巨匠の作品に心弾みます。

ボストン美術館展

ボストン美術館の改装に合わせての展覧会ですが、この機会に多くの作品が海を渡ってくるのには驚きです。もちろん、経済的な側面や技術的な側面が水面下にあるように思われますが・・・一般の観衆としては喜ばしいところです。

今回はテーマ毎の展示となり、歴史的な順序はありません。このため、主催者側の構成力が問われることになります。「多彩なる肖像画」「宗教画の運命」「オランダの室内」「描かれた日常生活」「風景画の系譜」「モネの冒険」「印象派の風景画」「静物と近代絵画」とテーマは8つに区切られています。

「モネの冒険」のようにかなり意欲的なテーマとするところもあり、なかなか良く考え抜かれているように思います。それぞれにメインとなる絵画が配置されることになっており、例えば、「多彩なる肖像画」では、レンブラントのすごみのある肖像画を、「オランダの室内」では、フェルメールを意識させるようにピーテル・デ・ホーホの室内風景を持って来ています。

何を見せてたいかのがはっきりと判るので、とても気持ちの良い展示と言えます。ビルの形状を上手く使った配置になっており、壁の色やライティングも良くできています。かなりの時間を使い、試行錯誤をした結果だろうと思います。

ボストン美術館展
ジャン=フランソワ・ミレー「馬鈴薯植え、1861」

気に入った作品はたくさんあるのですが、ひとつだけ選ぶといたら、今回はミレーの『馬鈴薯植え』にしたいです。この作品からは、大地とそこに生きる人々を愛したミレーの歌声が聞こえてきます。

広い農地の中で夫婦でジャガイモを植える。どこにでもある風景だと思います。この時代の農業もけして先駆けたものでなく、貧しい誰にでも出来る労働として位置しています。しかし、大地と人が対話をしながらひとつひとつ作業を行って行かなければ、豊かな実りを得ることは出来ません。

この作品からは、何が大切であるのか、何をすれば良いのかという問いの答えを示しているように思います。現在は環境問題が大きく取り上げられていますが、本当に何をすれば良いのかというところでは、答えは出ていないように思います。もし、本当の答えが知りたいならば、この絵を見れば判るはず、あさぎはそう思っています。

※森アーツセンターギャラリー(2010年4月17日~2010年6月20日)

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_ Art-Millー2 - 2010年08月10日 00時14分44秒

京都市美術館で《ボストン美術館展》(8月29日まで)を見て来た。
お目当ては、作品10点を集めた《モネの部屋》。
列を作って待たされる事約15分。この程度の時間で済んだのは、やはり猛暑のせいか。

《名画のフルコースをどうぞ》というコピーではあるが、果たしてフルコースと言えるかどうか。狙いは《モネの部屋》なんで、、、、、、、、、。


入ってすぐ、ベラスケスとマネの肖像画が並んでいるのにはにちょっと驚く。そもそも二人の絵が並ぶこと自体がありえない。実に奇妙な体験だった。ベラスケスと並べば、《マネの白粉》が一段と目立つ結果になる。白絵の具の使い過ぎでは?と改めて思った。現代の...